「美しい形」と「安全」は両立できる安藤 紗由莉先生|SEED新体操教室
身体の構造を知ることは、怪我を防ぐためだけではありません。美しい形へ近づくためにも、子どもたちの成長を支えるためにも、「なぜこの動きが必要なのか」を理解することが指導の土台になる。「運動器の解剖」を学んだ安藤先生の気づきをご紹介します。
みなさま、こんにちは! 新体操安全コーチ資格事務局です。
このコラムでは、今年からスタートした「新体操安全コーチ資格」を受講してくださった先生方からの、各講義のご感想や現場での気づきをシリーズでお届けしてまいります。
記念すべき初回は、SEED新体操教室にて子どもたちの指導にあたられている安藤紗由莉先生です。
本資格でどのような実践的な知識を学ぶことができるのか。現在受講を迷われている方も、ぜひ安藤先生のリアルな声をご参考になさってみてください。
骨・関節・筋肉・神経系など、身体を動かす仕組みを学び、安全で効果的な指導の土台をつくる講義です。安藤先生には、受講後に感じたこと、これまでの振り返り、現場への活かし方、受講前後の変化、生徒へ伝えたいことの5つの視点からお答えいただきました。
安藤紗由莉先生が学んだ「運動器の解剖」
新体操では、柔軟性や美しいライン、ジャンプやバランスといった目に見える動きに意識が向きやすい一方、その動きを支えている骨・関節・筋肉・神経系まで立ち返って考える機会は、決して多くありません。
今回、安藤先生が講義を通して強く感じられたのは、「安全のために身体を知ること」と「より美しい動きを目指すこと」は、別々のものではないということでした。
私たちが求める美しい形への近道にもなる。安藤紗由莉先生|受講後のご感想より
- お名前
- 安藤 紗由莉
- 所属
- SEED新体操教室
- 活動
- 子どもたちへの新体操指導
- 今回の講義
- 運動器の解剖
講義を受けて見えてきた、5つの変化
講義を受けて感じたこと
新体操を現役でやっていた時も指導者になった今も、美しい形を求めるあまり、体の内部ではどうなっているかに目を向ける機会が多くはありませんでした。
関節や筋肉の構造を知ることで、怪我をしないという点でも有意義ですが、私たちが求めている美しい形にも近道で辿り着けるのだと改めて気付かされました。
また、人間が生まれてから獲得する感覚ひとつひとつが動きから繋がっており、赤ちゃんを持ち上げること、裸足での運動や足元の安定・不安定の違いでも、運動器としては意義があるということを考えさせられました。
子どもに指導するということに対して、より責任感が生まれました。
自分のこれまでを振り返って気がついたこと
体を柔らかくしたい時、伸ばしたい方の主導筋にばかり目を向けて、とにかく伸ばし続けてきました。
拮抗筋の存在を意識できていなかったので、柔軟性を高め続けるには限界があり、足を上げてもその形でキープすることが難しくありました。
逆に、拮抗筋になることが多い筋肉を伸ばせていなかったので、足のシルエットが悪くなったり、それが影響して障害になり得る痛みが出ていたのかもしれません。
毎日のようにストレッチをして、一般よりも柔軟性があるにも関わらず、整骨院で筋肉が硬いと診断されていたのは、こういった面が大きいように思います。
「もっと伸ばす」だけではなく、動きをつくる筋肉同士の関係や、動かした範囲を自分で支えられるかまで見る。安藤先生の振り返りからは、柔軟性を一方向の能力として捉えない視点が見えてきます。
現場でどのように活かせそうか
新体操のレッスンでは、最短で柔らかくなるストレッチや、分かりやすく筋力が上がるトレーニングをしがちですが、私が指導している大会を目指さない未就学児や小学生には、直接的なものでなくとも、様々な運動器に効果がある動きを取り入れていきたいです。
毎週行う単純なルーティンを応用したり、上半身と下半身の別々の動きを同時に行ったりすることも、成長期には良い刺激になりそうだと思いました。
今まで神経系を意識したことがなかったので、目に見える部位を鍛えるだけでなく、体の動きと脳がうまく連動するようになれば、自分でどういった動きをしているのか客観視できるようになるのではないかと考えました。
それができれば、細かく教えられなくてもキャッチできるようになり、習得するスピードも早くなると思われますので、私自身、神経系に効果的なトレーニングのレパートリーを増やしていきたいと思います。
受講前と受講後で変わったこと
自分が経験を積んで習得してきた技に関しては言語化して教え伝えることができ、自然とできていたことに関しては感覚で指導することができていましたが、走る、跳ぶのような基礎的な運動能力に欠ける生徒は、どうしてできないのか理解できていない部分がありました。
どの機能を高められればできるのか見極められずにいましたが、総括で「運動ができない理由を多角的に判断する必要がある」という話があり、非常に納得させられました。
何度指摘しても同じ間違いを繰り返す生徒は、体の作りだけでなく神経系の未発達だったのかもしれないし、手足が想定外の動きをして誤っている生徒も、私の知識にないだけで明確な理由があるのかもしれないと省みることができました。
今後の講義で更に知識を得て、生徒の状態を観察して理解できるように努めていきます。
理由を多角的に考えられる指導者になりたい。安藤紗由莉先生のご感想から編集部が要約
生徒に伝えたいと思ったこと
子どもは、体が柔らかいということがどういうことなのか分かっておらず、特に小学生以下は言葉で伝えても分からないことが多いので、関節が無理のない動きをしているか、骨や筋肉を痛めつけていないか、正しい形を示しながら、まずは怪我をしないことを指導していきたいです。
また、ジャンプは身体の形成やホルモンの生成に良いということだったので、新体操が子どもたちの成長に適しているというポイントを、生徒だけでなく保護者の方々にも伝えられたら、スポーツの中で新体操のイメージがランクアップするのではないかと感じました。
美しい形を追求することと、安全を守ることは、対立しない
安藤先生、指導の最前線からの貴重なご感想をありがとうございました。
今回のご感想から伝わってくるのは、講義で得た知識をそのまま覚えるのではなく、「これまで自分はどう指導してきたか」「目の前の子どもには何が必要か」「明日のレッスンをどう変えられるか」へと、一つひとつ結びつけて考えている姿勢です。
新体操では、美しいラインや高い柔軟性、技術の習得が求められます。だからこそ、その土台となる身体の構造や発育、筋肉・関節・神経系の働きを知ることは、「安全のためだけの知識」ではありません。
美しい形を追求することと、安全を守ることは、決して矛盾するものではない。身体を理解し、子ども一人ひとりの状態を観察しながら指導することが、結果として技術の習得や成長をより確かなものにしていく。安藤先生のご感想は、そのことを改めて教えてくれます。
次回のコラムでも、受講生の皆様のリアルな声と、学びを通じた指導現場のアップデートをお届けしてまいります。「新体操安全コーチ資格」に興味をお持ちの先生方も、ぜひ今後のコラムをご覧ください。
感覚だけに頼らず、根拠を持って選手を支える指導へ
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