新体操を、生涯楽しめるものへ安藤 紗由莉先生|SEED新体操教室
新体操の基礎にはバレエがある。けれど、バレエの型をそのまま当てはめることが、新体操にとって常に正解とは限りません。「新体操バレエ論」を学んだ安藤先生が、身体の使い方の違い、フロアバレエ、体幹、表現、そして新体操を生涯スポーツへ広げる可能性について考えたことをご紹介します。
みなさま、こんにちは! 新体操安全コーチ資格事務局です。
このコラムでは、今年からスタートした「新体操安全コーチ資格」を受講してくださった先生方からの、各講義のご感想や現場での気づきをシリーズでお届けしてまいります。
今回も、SEED新体操教室にて子どもたちの指導にあたられている安藤紗由莉先生のご感想をご紹介いたします。
本資格でどのような実践的な知識を学ぶことができるのか。現在受講を迷われている方も、ぜひ安藤先生のリアルな声をご参考になさってみてください。
バレエと新体操の身体の使い方や美しさの基準の違いを整理し、バーレッスンやフロアバレエ、体幹、胸椎・肩甲骨の使い方などを通して、新体操にとってバレエをどう活かすかを考える講義です。
安藤紗由莉先生が学んだ「新体操バレエ論」
新体操では「基礎はバレエにある」と言われることが少なくありません。実際、選手クラスでバーレッスンを取り入れたり、つま先の伸ばし方や姿勢をバレエから学んだりする現場もあります。
しかし今回の講義を通して安藤先生が改めて見つめたのは、バレエと新体操は共通点を持ちながらも、美しさの基準や身体の使い方、目的には違いがあるということでした。
新体操に必要なものを選び取る。安藤紗由莉先生|受講後のご感想より
- お名前
- 安藤 紗由莉
- 所属
- SEED新体操教室
- 活動
- 子どもたちへの新体操指導/ダンサー
- 今回の講義
- 新体操バレエ論
講義を受けて見えてきた、4つの視点
講義を受けて感じたこと
新体操のことを客観的に見つめたことが今までなかったため、自然と使っていた身体のことを改めて考える機会になりました。
バレエについても知っているようで浅い部分しか知らず、決められた制限の中に美しさがあることは意外に感じ、評価を上げるポイントの違いを学んだことで、一概に新体操にバレエの型を当てはめていくことが正解ではないと気付かされました。
また、どこまでいっても新体操は競技であり、生涯スポーツとして趣味にすることが難しいとされています。その点、バレエは年齢をあまり選ばず、初心者からプロまで間口が広いところが、競技人口に大きく差をつけています。
私は大人から新体操を始めても良いと考えており、点数を気にせず純粋に楽しむ層がもっと増えてほしいと思っています。
そのためには、新体操の実践的な技術だけでなく、幼児の発達から年を重ねた先の身体まで網羅し、多角的に指導できる人材が必要だと思われます。そのような知識と経験を兼ね備えた指導者になれるように、今後も励んでいきたいです。
自分のこれまでを振り返って気がついたこと
私は新体操を上達させるために、3年程度、新体操と並行してバレエを習っていました。また、通っている新体操教室の方でも、選手クラスはレッスン終わりに週1回バレエの先生からバーレッスンやつま先の伸ばし方について指導を受けていました。
それは皆で、新体操の根幹はバレエにあると信じて疑っていなかったからであり、特に身体の使い方において違いを感じていませんでしたし、それによるデメリットを感じたこともありませんでした。
今思えば、頭で考えて身体を動かすことなく見様見真似であり、そこまでバレエのメソッドを忠実に再現できていないがゆえに、新体操寄りの身体使いのままやっていたのだと思います。
今でもバレエの動きは、意味を理解していないまま知っている流れを真似てしまうことがあり、それを指導することはありませんが、きちんと目的を知った上で効率よく行うのが自分のためになるのだと省みました。
バレエを取り入れること自体が目的ではなく、「何を身につけるために行うのか」を明確にすることが大切です。姿勢、体幹、足部、表現、コーディネーションなど、新体操に必要な要素へどう接続するかを考えることで、補助的なトレーニングとしての意味がはっきりします。
現場でどのように活かせそうか
フロアバレエというものがあることを初めて知り、自分が指導されたことがない分、手を出すのは危険なところがありますが、トレーニングの一環として興味を持ちました。
子ども達は体幹がなくぶれてしまうので、足を振り上げる際に寝た状態でさせる時がありましたが、これはその一種で、無意識に支持基底面を大きくさせる選択をしていたのだと分かりました。
基礎を作り上げるのはバーレッスンだと当たり前のように思っていたので、それに代替するものがあって、より有効であるならば積極的に取り入れていきたいです。
私はダンサーでもあるため、コンテンポラリーダンスを融合させるのも私独自の新体操を切り開く鍵になりそうだと思ったので、さらに視点を広げて学びを深めていきたいです。
受講前と受講後で変わったこと
新体操をやる上でバレエを学んで得られるものというのをしっかりと考えたことがなく、今回言語化されてようやく理解することができたので、これから行うバーレッスンはより身体の内部に還元できる気がします。
現役時代の私はとにかく筋肉が付いていて、パワーで脚を保持し、外側の筋肉ばかり固めていたため、競輪選手のような脚をしていました。それだけ付けても演技の中では実用的ではなく、理想の形から遠ざかる一方でした。
当時はインナーマッスルの概念は最先端だったように思いますが、今は一般的になってきたので、目先の強さを追わずに、体幹を鍛えてぶれることのない身体を、生徒には作り上げていけるようにトレーニングを提供していきたいです。
そして、後屈の柔軟性は胸椎にあるとこれまでの講義で学んでいましたが、この部位を柔らかくするやり方が分かっていなかったため、肩甲骨から動かしていくことを知って驚愕でした。
やはり身体はすべてつながっていて、解剖学を学ぶ意味を再度確認できました。
新体操に必要な身体づくりのために、何を選ぶかを考える。安藤紗由莉先生|受講後のご感想より
全課程を終えて、新体操の可能性を広げる
安藤先生、ベーシックプログラムの全課程修了、本当におめでとうございます。
全12回を通じて、常にご自身の経験と現在の指導現場へ学びを落とし込みながら、身体・心理・栄養・コーチング・ハラスメントなど、さまざまな角度から指導を見直してこられました。
最終回となる今回の「新体操バレエ論」では、これまで「新体操の基礎」として当たり前に受け入れてきたバレエを、改めて客観的に見直す姿勢が印象的でした。
バレエと新体操は似ているからこそ、同じものとして扱わない。それぞれの目的や身体の使い方を理解した上で、必要なものを選び取ることが、安全で効果的な指導につながります。
そして今回、安藤先生が示してくださったもう一つの大きな視点が、新体操を競技だけで終わらせず、生涯スポーツとして広げていくことです。
子どもだけではなく、大人から始めてもいい。点数や大会を目標にしなくてもいい。手具を使い、音楽とともに身体を動かし、新体操そのものを楽しむ人がもっと増えてもいい。
そのためには、競技経験だけではなく、幼児期の発達、成人の身体、加齢による変化、安全な運動、心理的なサポートまでを理解できる指導者が必要になります。
このプログラムで得た学びが、安藤先生独自の指導へとつながり、新体操そのものの楽しみ方を広げていくことを、私たちも楽しみにしています。
引き続き、新体操安全コーチ資格では、安藤先生のご活動を応援、サポートしてまいります。
新体操を、競技の先まで学べるものへ
新体操安全コーチ資格では、解剖・姿勢・トレーニング・クラス構成・バレエ論・ウォームアップとストレッチ・栄養・心理・ハラスメント・コーチングなど、安全で長く新体操に関われる環境をつくるために必要な視点を体系的に学びます。