【受講者の声】クラス構成の基礎知識〜SEED新体操教室 安藤紗由莉先生〜 コラム vol.10

「できない」を分解して、できる一歩目をつくる|安藤紗由莉先生|新体操安全コーチ資格
新体操安全コーチ資格|受講生の声

「できない」を分解して、できる一歩目をつくる安藤 紗由莉先生|SEED新体操教室

新体操には、バレエを基礎としながらも、手具操作や競技特有の身体の使い方があります。「なぜできないのか」を感覚だけで判断せず、身体・重心・支持基底面・段階づけから分解して考える。「クラス構成の基礎知識」を学んだ安藤先生の気づきをご紹介します。

受講生コラム Vol.10講義テーマ:クラス構成の基礎知識

みなさま、こんにちは! 新体操安全コーチ資格事務局です。

このコラムでは、今年からスタートした「新体操安全コーチ資格」を受講してくださった先生方からの、各講義のご感想や現場での気づきをシリーズでお届けしてまいります。

今回も、SEED新体操教室にて子どもたちの指導にあたられている安藤紗由莉先生のご感想をご紹介いたします。

本資格でどのような実践的な知識を学ぶことができるのか。現在受講を迷われている方も、ぜひ安藤先生のリアルな声をご参考になさってみてください。

今回の講義|クラス構成の基礎知識
バレエとの共通点と新体操独自の手具操作、身体特性、支持基底面と合成重心、年齢やスキルに応じた段階づけ、代償動作を避ける考え方などを通して、クラスをどのように組み立てるかを考える講義です。
LEARNER VOICE 10

安藤紗由莉先生が学んだ「クラス構成の基礎知識」

新体操には、明確に一つのメソッドとして統一された指導体系があるわけではありません。そのため、指導者自身の経験や所属してきた環境によって、教え方に差が生まれやすい側面があります。

安藤先生が今回の講義を通して得たのは、経験を否定することではなく、これまで感覚で理解してきたことを、解剖学・物理学・運動学の言葉へ置き換え、再現可能な指導へ変えていく視点でした。

感覚で分かっていたことを、
理論として言葉にできるようにする。安藤紗由莉先生|受講後のご感想より
お名前
安藤 紗由莉
所属
SEED新体操教室
活動
子どもたちへの新体操指導
今回の講義
クラス構成の基礎知識
FIVE REFLECTIONS

講義を受けて見えてきた、5つの視点

01

講義を受けて感じたこと

新体操はバレエから派生しており、基礎はバレエにあるというのが新体操選手の共通認識です。今回はそのバレエと比較しながら、新体操独自の手具の存在にも着目して、身体の使い方がどのように変化するのかを論理的に学ぶことができました。

新体操にはメソッドという指針がなく、プロというのもないため、私自身、選手としても指導者としても実績がないまま、経験値だけで指導に当たっている不安要素が長年ありました。

理想の形を追い求める中で、なぜできないのかを筋肉や関節レベルで分解して見極める方法を、これまでの講義で少しずつ学び、今はできなくとも「すべきである」という自覚が芽生えました。

安全という面ではもちろん、トレーニングのバリエーションが増えたことも生徒の楽しさにつながり、ひいては技術の向上につながっていくと思われます。私の指導者としての自信や、指導の根拠もこうした中で培っていきたいです。

02

自分のこれまでを振り返って気がついたこと

新体操の指導者になり、競技としての部分から長らく離れていたので、新体操を評価する要素について思い出すことができました。

私は柔軟性が劣っていたので、身体で魅せるというよりも手具操作で点数を稼げるように努力し、自分が憧れる選手が長けている音楽との融合や表現などの芸術点にこだわりました。オリンピック選手を見ても、特徴的な個性が演技に全面に出ており、何を重視するかは人それぞれです。

私の生徒には、そのような個人のパラメーターを引き出して、何が得意なのかを認識させてあげられるほどの指導はしていなかったように思います。

レッスンを通して柔軟性、筋力、感覚、身体特性のグラフを満遍なく底上げすることが、私の受け持つクラスでの任務だと感じるので、簡単な技ひとつとってもそれらの要素に触れて組み込んでいき、生徒自身が強化するポイントを認識できるようにまで引き上げられたら、成長の速度が上がるのではないかと考えました。

LEARNING POINT

一つの技が「できる/できない」だけで見るのではなく、柔軟性、筋力、バランス、感覚、身体特性、手具操作など、複数の要素へ分解して考えることで、必要な練習を選びやすくなります。クラス構成は、技の順番を並べるだけではなく、学習の段階を設計することでもあります。

03

現場でどのように活かせそうか

今回の支持基底面と合成重心という概念は、年齢やスキルでの段階付けを合理的に可能にし、クラスの中で一斉に同じ技をさせた時でも、個人のパラメーターに合わせた提案がやりやすくなりました。

手具操作の中で必要な動きを、手具なしでもできていないにもかかわらずさせており、人によっては説明しても全くできないということがありましたが、これは必要なステップを踏ませてあげられていなかったのだと省みることができました。

今後はどのクラスでも、理想へ向かう1歩目から指導していきたいと思います。

04

受講前と受講後で変わったこと

新体操やダンスでも、基礎練習にルルベでパッセのキープをするというものがありますが、あまり得意ではなく、数秒でぐらついてしまい、言葉では原因を説明できない苦手意識がありました。

しかし、講義に基づき支持基底面を感じ、その上に重心を持っていくというイメージをするだけでバランスが止まりやすくなり、長い時間止まることができました。

生徒は片足のバランスが悉くできず、両足のルルベもままならないため、私のこの感覚を言語化できるようにし、理論的な説明と知見を合わせてアドバイスできるようになりたいと思います。

また、バランスの際の手の位置も重心を定める重要な要素であったので、どこならバランスが止まれるのかステップを作って、それを調整することを念頭に置いていきたいです。

できない子に、完成形を繰り返させるのではなく、
その子に必要な一歩目へ戻る。安藤紗由莉先生|受講後のご感想より
05

生徒に伝えたいと思ったこと

理想の形を共有した際に、求めるところに到達していなくてもズルをする必要はなくて、今できる正しい形をやる大切さを丁寧に伝えていきたいです。

これが顕著に表れるのが横開脚や前後開脚をした時で、痛みに耐えられずすぐに骨盤をずらしてしまいます。

私自身180度開くようになったのが物心つく前で記憶になく、どのような段階を経て開くようになったのか経験で教えることができず、また180度以上は椅子に乗せて自分の意思で限界を突破してきたので、今の生徒に当てはめることができず、ストレッチの適切な程度の痛みの中で徐々に柔らかくしていくという部分の指導に難しさがありました。

しかし、代償行動のリスクを今一度学ぶことができたので、ゆっくり時間をかけて何度も基本に立ち返り、生徒自身で身体の向きが合っているか理解できるまで向き合っていきたいと思います。

FROM FEELING TO FRAMEWORK

感覚を理論へ。理論を、一人ひとりに届く指導へ

安藤先生、今回も解剖学や物理学の視点を取り入れた貴重なご感想をありがとうございます。

新体操には明確な一つのメソッドがないからこそ、指導者自身の経験が大きな資産になります。一方で、経験だけに頼ると「自分はできたけれど、なぜこの子はできないのか」が見えにくくなることもあります。

今回、安藤先生が自身のルルベで実感されたように、支持基底面や合成重心といった理論によって、これまで感覚だったものが言葉へ変わると、指導の再現性は大きく高まります。

そして、クラス全員に同じ完成形を求めるのではなく、一人ひとりの柔軟性、筋力、感覚、身体特性、年齢、スキルに合わせて「今できる一歩目」を提示することが、安全なクラス構成につながります。

開脚で骨盤をずらす、バランスで身体を傾けるなど、完成形に近づこうとして起こる代償動作も、見た目だけを追いかけていると見逃してしまいます。だからこそ、「まだ完成していなくても、今できる正しい形を選ぶ」という安藤先生の視点は、とても重要です。

技術を早く完成させることだけではなく、身体の仕組みを理解し、必要な段階を踏みながら、自分自身で正しい身体の使い方を判断できるようになること。それが、子どもたちの安全と長期的な上達の両方につながります。

これからも新体操安全コーチ資格では、経験を大切にしながら、その経験を医学・科学・教育の言葉によって更新し、指導者一人ひとりの「教える根拠」へ変えていく学びを届けていきます。

新体操安全コーチ資格事務局

執筆:新体操安全コーチ資格事務局

受講生の皆様から寄せられた講義のご感想と、指導現場での気づきをシリーズでご紹介しています。

NEXT STEP

経験を、再現できる指導の根拠へ

新体操安全コーチ資格では、解剖・姿勢・トレーニング・クラス構成・ウォームアップとストレッチ・栄養・心理・ハラスメント・コーチングなど、子どもたちを安全に支えるために必要な視点を専門家から体系的に学びます。今の指導を見直したい方、これから指導者を目指す方もオンラインで受講できます。

© 新体操安全コーチ資格
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