「教え込む」から「引き出す」へ安藤 紗由莉先生|SEED新体操教室
指導者が答えを与え続けるのではなく、子ども自身が考え、自分で課題を見つけ、挑戦したいと思える状態をつくる。「コーチング」を学んだ安藤先生が、これまで大切にしてきた対話の意味と、これからの指導のあり方を見つめ直します。
みなさま、こんにちは! 新体操安全コーチ資格事務局です。
このコラムでは、今年からスタートした「新体操安全コーチ資格」を受講してくださった先生方からの、各講義のご感想や現場での気づきをシリーズでお届けしてまいります。
今回も、SEED新体操教室にて子どもたちの指導にあたられている安藤紗由莉先生のご感想をご紹介いたします。
本資格でどのような実践的な知識を学ぶことができるのか。現在受講を迷われている方も、ぜひ安藤先生のリアルな声をご参考になさってみてください。
受容・共感・傾聴を通じて信頼関係を築き、指導者が一方的に教え込むのではなく、生徒自身の主体性や挑戦する力を引き出していくための考え方を学ぶ講義です。安藤先生には、受講後に感じたこと、これまでの振り返り、現場への活かし方、受講前後の変化、生徒へ伝えたいことの5つの視点からお答えいただきました。
安藤紗由莉先生が学んだ「コーチング」
指導者は、技術を教える人です。しかし、それだけがコーチの役割ではありません。生徒が何を感じ、どこで止まり、どんな目標なら自分から挑戦したいと思えるのかを一緒に見つけていくことも、指導の大切な一部です。
安藤先生が今回の講義を通して見つめ直したのは、「教えることに必死になる指導」から、生徒の言葉を聞き、本人の主体性を引き出す指導へという変化でした。
指導者は、そのための伴走者になれる。安藤紗由莉先生|受講後のご感想より
- お名前
- 安藤 紗由莉
- 所属
- SEED新体操教室
- 活動
- 子どもたちへの新体操指導
- 今回の講義
- コーチング
講義を受けて見えてきた、5つの変化
講義を受けて感じたこと
コーチングというものを実際に指導している現場で、日々経験しながら学んではいましたが、学術的な理論を得たことがなかったので、自分のレッスンを見直すことができたと共に、あの時生徒はこのような気持ちだったのではないのかと、寄り添えなかった子ども達の内側を今になって知ることができました。
そもそもコーチとしてのあり方の認識を間違えており、私のレッスンでは教えることに必死になって、主体性が身につくような目標や課題を生徒それぞれに見つけられていなかったように思います。
人によっては何年も同じ壁にぶち当たって一つの技を練習しており、なかなかできず進歩が見られないのは、自主的に練習したいと思えるような目標を作ってもらっておらず、週1回取り組むだけで積極的に向き合うように促せていなかったのではないかと省みました。
自分のこれまでを振り返って気がついたこと
生徒にレッスンをしていく中で私は会話をする時間が好きで、何が好きで今日何をしたのか最近は何に興味があるのかなどを、準備体操や柔軟でキープしている時間によく聞いていました。これは単純に子ども達への興味と新体操では見ることができない内面を知りたいという理由と、もう一つは生徒同士で関心を持ってもらうために色々と聞き出していました。
この時間、子ども達も楽しそうに話して盛り上がるがゆえに、肝心な体勢は気にすることができず全然ストレッチになっていなかったり、保護者の方々には無駄な時間になっているように映っているのではないかと、雑談はカットするべきなのではないかと内心思っていました。
しかし、この会話で行われていた自己開示はコーチングをする上では必要なコミュニケーションで、生徒との関係性を築くという点では理に適っていたと知ることができました。このコミュニケーションの時間が、私と生徒、そして生徒同士の繋がりを強固にするものになるように有意義に使っていきたいです。
一見「雑談」に見える時間も、生徒が自分のことを話し、指導者がその人を知るための大切な接点になります。技術指導だけでは見えない気持ちや興味を知ることが、信頼関係と主体的な学びの土台になります。
現場でどのように活かせそうか
今まではレッスン中に子どもの意見を聞く時間をあまり設けておらず、これやってあれやってと動作の練習をしていく際には、決められた動きを何度も繰り返すことで習得を目指してきました。その中で失敗を恐れて立ち止まってしまう生徒には、声かけはするもじっくり意見を聞いたり、どうしたらできそうかを考える隙を与えられていませんでした。
必ずしもクラス全員でなく、少数派だからこそ理解し難い部分がありましたが、受容、共感、傾聴の姿勢をそれぞれに示すことで、子ども達も自分で決めた課題ならば挑戦しやすいでしょうし、私もどのようにフォローすべきか見えてきて、できないで止まってしまう平行線から脱することができそうだと思いました。
失敗することも楽しく乗り越えられたら新体操だけでなく、広義的な人生という様々なシーンで成長ができる人に育っていくのではないかと思われます。
受講前と受講後で変わったこと
生徒の年齢が上がるにつれて、できていないことを指摘して技の習得に向けて各自課題を頑張らせるという、淡々とした指導になりがちでしたが、できている部分にも目を向けてポイントで褒めるということの大切さを改めて知ったので、今後は高学年にもしっかりと良い所をそれぞれに伝えていきたいです。
特に自立してできている子ほど補助が要らずなおざりになってしまうので、ちゃんと見ているという意味も込めて、努力や長所に注目して褒めていきたいと思います。
また、指導者の勇気づけによって自分の居場所が新体操教室にあると思ってもらうことができ、それが子ども達の精神の安定に繋がり、モチベーションが上がったり、ゆくゆくは他の人を勇気づけたりするようになるサイクルを生み出せると思うので、皆が幸福度高く日々を過ごせるように「勇気づけ」を意識してレッスンしていきます。
「ちゃんと見ている」と伝わる言葉を届けたい。安藤紗由莉先生|受講後のご感想より
生徒に伝えたいと思ったこと
大人でも大変難しいことではありますが、行為と人格を区別するというのは、どのコミュニティにおいても備わっておくべき考え方であるため、自分自身で注意しつつ子ども達の中でもそのような場面があったら、噛み砕いて教えてあげられるようにしておきます。
責任感が強く面倒見が良い子にこうした傾向があるように感じており、ルールを間違えたりリレー形式で負けたりした際に、講師に代わって指摘してくれる言葉が厳しい場合があるので、優しく伝えられるような言い方を一緒に学んでいきたいです。
この切り離しができると、ビジネスでも対人関係の悩みがかなり減るように感じます。そして、生徒が大人になって社会に出た時にも何か役立つスキルが自然と身についているように、メラビアンの法則に則って好意的な印象を与える言葉や話し方、仕草を心がけて、伝えていきたいと思います。
「教える」から、「自分で進めるように支える」指導へ
安藤先生、今回も実践的で深いご感想をありがとうございます。
柔軟中の「雑談」に迷いを感じられていたとのことですが、その時間は、生徒が自分を開示し、指導者が一人ひとりのことを知り、信頼関係を築く大切なコミュニケーションでもあります。これまで自然に大切にされてきた対話に、コーチングという理論が意味を与えてくれたのではないでしょうか。
また、「教え込む」指導から、受容・共感・傾聴を通じて子ども自身の主体性を引き出す指導へと視点を更新されたことは、今回の講義の大きな学びの一つです。
高学年や自立している生徒ほど、できていることが当たり前になり、声をかける機会が減ってしまうことがあります。だからこそ、努力や良い部分を具体的に見つけ、「見ているよ」と伝える勇気づけには意味があります。
さらに、「行為」と「人格」を分けて考えることは、新体操の中だけでなく、子どもたちがこれから人と関わりながら生きていく上でも大切な力になります。
技術の向上だけでなく、生徒が自分で考え、課題を選び、失敗を受け止め、また挑戦できる人へ育っていくこと。その隣で答えを押しつけるのではなく、必要な時に支えられる伴走者であることが、これからのコーチの役割なのかもしれません。
次回のコラムでも、受講生の皆様のリアルな声と、学びを通じた指導現場のアップデートをお届けしてまいります。「新体操安全コーチ資格」に興味をお持ちの先生方、今後のコラムもぜひご期待ください。
「教える技術」だけでなく、「育てる力」を学ぶ
新体操安全コーチ資格では、身体・心・栄養・ハラスメント・コーチングなど、指導現場で必要となる視点を専門家から体系的に学びます。今の指導を見直したい方、これから指導者を目指す方もオンラインで受講できます。