監修:小西夏生先生からの
講義のご紹介
実際の講義がどのように新体操の指導に役立つのか。
ぜひ小西先生からのコメントを参考になさってみてください。
10講義、それぞれの気づき。
ベーシックプログラム全12講義のうち、今回は第1〜10講義のコメントをご紹介します。
運動器の解剖
脊柱と体幹
整形外科の視点から脊柱と体幹について学ぶことで、これまで感覚的に捉えていた「姿勢」や「軸」の理解が、より明確になったと感じました。脊柱は単なる一本の骨ではなく、椎間板や靭帯、関節によって支えられ、神経を守りながら機能している重要な構造であることを改めて認識しました。特に、腰椎は安定性、胸椎は可動性といった役割の違いや、骨盤を含めた体幹全体での機能的な安定が重要である点は、日々の指導に直結する内容だと感じました。柔軟性だけでなく、筋や神経によるコントロールが伴って初めて「安定した動き」につながるという考えは、新体操指導において非常に重要だと思います。
また、ニュートラルゾーンとエラスティックゾーンの概念から、可動域を広げるだけでなく「コントロールできる範囲を高める」ことの大切さを学びました。これから本資格を受講される皆様にも、ぜひ知識としてだけでなく、実際の動きや指導と結びつけながら理解を深めていただけたらと思います。
安全性を第一に考えながら、しなやかさと安定性を両立した指導につなげていく視点を、ぜひ大切にしていただきたいです。
トレーニング理論
私自身、現役時代は新体操の練習に加えて、週に2日ほどトレーニングの時間を設けていました。その中で、自分の弱い部分に気づき、少しずつ補えていった感覚があります。
練習だけではなかなか伸びないと感じるとき、「何が足りていないのか」を見極めることがとても大切だと思います。その視点を持つことが、指導者にとって大きな役割の一つです。
また、すべてを一人で抱えるのではなく、必要に応じて専門のトレーナーの力を借りることも一つの方法です。
「なぜこのトレーニングを行うのか」という目的を明確にし、発育段階や個々の特性に応じた指導を行うことが、安全で効果的な育成につながります。
本講義では、トレーニングの基本原理を学びながら、「目的を持って指導する視点」を身につけることができる内容となっています。
栄養学基礎
栄養学基礎の講義を聞くと、現役時代の自分の食事の仕方が、今振り返るととても良くなかったのだと改めて気づきます。
当時は貧血気味だったり、常に体がだるかったりして、「頑張りたいのに体力が持たない」という感覚がありました。新体操の1分半の演技でも、最後まで100%の力を出し切れないことが多く、長時間練習をしている中で、無意識に“省エネモード”で動く癖もついていたように思います。今回の講義を通して、その原因の一つに食事や栄養の不足があったのだと強く感じます。
もし当時、この知識を持っていたら、もっとコンディションを整えられ、競技力やパフォーマンスも向上していたのではないかと思います。
特に新体操のようにスタイルが重視される競技では、食事内容に気をつける必要がありますが、「食べない」という選択は決して正解ではないということを改めて実感されると思います。しっかり食べて、しっかり練習することが、結果的にスタイル維持やパフォーマンス向上につながるということをぜひ知っていただきたいです。
また、思春期から中高生にかけては、女性らしい身体に変化していく時期でもあり、体型への不安から食事制限や偏った食べ方をしてしまう子も多いと感じます。だからこそ、その時期に指導者が正しい知識を持ち、適切なアドバイスをできることは、その子自身の将来や健康を守る上でもとても大切です。
この講義は、単なる栄養の知識だけではなく、選手を長期的に支えるために必要な視点を学べる、とても重要な内容となっております。
メンタルヘルス
この講義で改めて感じたのは、技術の向上だけでなく「心のケア」も競技や指導において欠かせない要素だということです。心が健康で安定していることで、練習への向き合い方が変わり、技術の向上にもつながる。そしてその積み重ねが、良い演技や試合での結果につながる。メンタルとパフォーマンスは切り離せないものであり、そこに良い循環が生まれるのだと感じます。
一方で、私自身の現役時代を振り返ると、優先順位はやはり「練習、練習」の毎日で、その次に身体のケア。メンタルについては、正直そこまで重要視してこなかったように思います。
ただ、試合前にメンタルトレーニングとして、自分が成功している演技を何度もイメージし、その状態で挑んだ試合で結果がついてきた経験があります。その時に初めて、メンタルがパフォーマンスに与える影響の大きさを自分自身で実感しました。
今回のメンタルヘルスの講義は「問題が起きた時に整えるもの」ではなく、日頃から心を健康に保ち、自分自身を理解し、支えていくために必要な学びとなっております。
これから受講される方には、知識として学ぶだけでなく、ご自身の経験や現場と重ねながら受講していただけたらと思います。きっと新たな気づきや、指導・競技・日常にも活かせる学びになると思います。
ハラスメント
ハラスメントに関する講義を受講し、改めて自分の競技人生を振り返る機会になりました。今思うと、スポーツの現場でハラスメントにあたるような経験は少なからずあったと感じています。ただ当時は、「頑張らなければ」という気持ちが強く、コーチに自分の気持ちを伝えることはなかなかできませんでした。コーチの存在は絶対であり、その指導に疑問を持つという感覚自体があまりなかったように思います。
また、結果がしっかり出ていたこともあり、自分自身どこかで納得していた部分もありましたし、親もコーチを信頼し、任せてくれていました。
もちろん、当時の指導の全てを否定したいわけではありません。新体操に打ち込んできた経験は、今の自分の考え方や思考、物事への取り組み方の土台になっていると感じています。
一方で、今でも夢の中に新体操が出てくることがあります。それだけ自分にとって影響力が大きく、強く記憶に残る経験だったのだと思います。そして講義を通して、当時自分が思っていた以上に、心や身体に大きなストレスを感じながら競技と向き合っていたのだと気づかされました。
だからこそ、指導者には技術指導だけでなく、言葉がけやコーチング、そして子どもたちの心への理解が必要だと感じています。子どもたちの成長を支える存在であるために、指導者自身が学び続け、より良い関わり方を考えていくことの大切さを改めて感じた講義でした。
コーチング
コーチングの講義は、指導者としての関わり方について深く考える機会となります。
私自身、選手時代は結果を出して当たり前というクラブチームに所属していました。そのため常にプレッシャーがあり、「失敗したら怒られる」「ミスをしたら代表になれない」といったことを強く意識しながら競技に向き合っていたように思います。今振り返ると、心から純粋に楽しむというよりも、結果を出すことや期待に応えることに必死だった記憶の方が強くあります。
この講義を通して感じるのは、指導に一つの正解はなく、その子がどうなりたいのかによって関わり方は変わるということです。目標や競技への向き合い方によって、必要な声かけや練習メニュー、導き方も変わってくるはずです。
また、新体操を通して子どもたちは技術だけでなく、人との関わり方や物事への向き合い方も学んでいきます。時には親より長い時間をコーチと過ごす子どももいるかもしれません。だからこそ、指導者の言葉がけや関わり方は、その後の人生や他者との関係性にも影響するほど大きく、ある意味では子育てにも近い責任のある役割なのだと感じます。
指導者は、技術指導だけでなく、心理学やコーチングについて学び続け、一人ひとりに合った関わりができる姿勢が必要だと改めて感じる講義です。
摂食障害への理解を深める
この講義では、摂食障害についての理解を深めることができます。
私自身、選手時代は身体が大きく成長する時期に競技へ取り組んでいましたが、当時は栄養や身体づくりに関する正しい知識を持っておらず、コーチの指導を信じて様々な方法を試していました。コーチを信頼していたからこそ、言われたことを疑うことなく実践していたように思います。
しかし今振り返ると、必ずしも正しい方法ばかりではなかったと感じています。また、新体操は見た目が重視される競技であるという意識が強く、自分自身もレオタードを着た時の体型を気にしたり、少し体重が増えただけで不安になったりした経験があります。幸い摂食障害になることはありませんでしたが、今回の講義を受講し、一歩間違えれば自分自身もそのような状態になっていた可能性があったのではないかと感じました。
また、講義内で取り上げられているジュニアアスリートの心理的問題についても、自身の経験と重なる部分が多くありました。競技を離れた今でも、他人と比較してしまったり、物事の捉え方が必要以上に繊細になったりすることがあります。それだけ成長期に受ける環境や指導者からの言葉が大きな影響を与えるのだと改めて感じました。
子どもたちは競技を通して技術だけでなく、自分自身の価値観や考え方も形成していきます。だからこそ指導者には、競技力向上だけでなく、選手の心身の健康を守る視点が必要であり、その責任は非常に大きいと感じています。
今回の講義を通して、現在は自分がその立場にいるということを改めて自覚するとともに、子どもたちの健全な成長を支えられる指導者でありたいと強く感じました。
ウォームアップとストレッチ
今回の講義を受講し、ウォームアップやストレッチについて、自分自身の選手時代の経験と結びつけながら理解を深めることができました。
選手時代は、練習前に45分〜1時間ほど静的ストレッチを行い、その後バレエレッスンをしてから本格的な練習に入ることが日常でした。新体操は大きな可動域が求められるため、柔軟性を高めることは必要不可欠だと考えています。一方で、長時間ストレッチをした後に、身体に力が入りにくいと感じることもありました。
今回、静的ストレッチの特徴や行うタイミングについて学び、「だからあの感覚があったのか」と、自分の経験と知識がつながったことがとても印象に残りました。
大切なのは、ただストレッチを行うのではなく、目的やタイミングを理解して適切に取り入れることだと感じます。経験に正しい知識が加わることで、指導の見方や選択肢はさらに広がります。これからの講義でも、学んだ知識を実際の指導や経験と結びつけながら、より安全で効果的な指導について一緒に学んでいけたらと思います。
姿勢について
今回の講義を受講し、姿勢について改めて学ぶとともに、安全に競技を行うためには、まず指導者が「正しい姿勢とはどのような状態なのか」を理解しておくことが大切だと感じました。
新体操では、つま先を伸ばす、膝を伸ばす、身体を大きく反らせるなど、競技特有の身体の使い方が多くあります。選手時代の私自身も、「きれいに見せること」や「技を成功させること」を意識することが多く、身体が本来どのような位置にあることが望ましいのかという視点で、自分の姿勢を考える機会はあまりなかったように思います。
今回、静的な姿勢の基本的な見方や、バレエ特有の姿勢、不良姿勢によって身体への負担が増え、さらにその状態で競技を行うことで怪我のリスクが高まることなどを学び、姿勢はすべての動作の基盤になるものだと改めて感じました。
特に新体操では、競技特有の姿勢や動きを求める場面が多いからこそ、一般的な正しい姿勢と競技特有の姿勢の両方を指導者が理解しておく必要があると感じます。ただ形を見て「もっと伸ばして」「もっと反って」と指導するのではなく、その選手の身体が今どのような状態にあり、その動きを行うことでどこに負担がかかるのかまで考えることが、安全な指導につながるのだと思います。
また、幼児期にはまだ脊椎のカーブが十分に形成されていないなど、成長段階によって身体の特徴が異なることも改めて学びました。子どもを指導するうえでは、大人と同じ基準で姿勢を捉えるのではなく、年齢や発育段階を理解したうえで見ていくことも重要だと感じました。
まず正しい状態を知ること。そして、その知識を持ったうえで一人ひとりの身体を見ること。指導者自身が正しい知識を持っていなければ、良かれと思った指導がかえって身体への負担につながってしまう可能性もあります。
今回学んだ姿勢の基本を、単に知識として持つだけではなく、日々の指導の中で子どもたちの姿勢や身体の使い方を見る際に活かし、競技力の向上だけでなく、怪我を防ぎながら安全に競技を続けられる身体づくりにつなげていきたいと思いました。
新体操を続けてよかったと、心から思えるように。
子どもたちの身体と心、そして未来を支えるために。新体操安全コーチ資格では、専門家の講義を通じて、現場に生かせる知識と判断の視点を学びます。
指導の基礎となる「運動器の解剖」を学ぶことは、安全で効果的な指導を行う上で欠かせません。骨・関節・筋肉・神経系の構造や役割を正しく理解することで、動きの質を高めるだけでなく、ケガの予防にも繋がると思います。また、聞いたことはあるけれど正しく理解できていなかった知識についても、わかりやすく学ぶことができます。まずは全体像を捉えながら、実際の動きと結びつけて理解を深めていけたらと思います。