成長期の新体操選手を守るRED-S入門

成長期の新体操選手を守るRED-S入門|コーチが気づきたい12のサイン
新体操安全コーチ資格|成長期の健康と安全

成長期の新体操選手を守るRED-S入門体重だけでは分からない、コーチが気づきたい12のサインと医療連携

成長期の選手には、柔軟・ジャンプ・手具操作や演技練習に使うエネルギーに加え、骨、筋肉、脳、ホルモン、免疫、日々の成長を支えるエネルギーが必要です。意図的な食事制限がなくても、練習時間の増加や大会・遠征の忙しさで食事・補食が追いつかなくなることがあります。競技レベルにかかわらず、地域の新体操教室でも知っておきたい健康の問題を整理します。

体型で判断しない変化を複数の視点で見る
成長を守る月経・骨・体調に気づく
一人で抱えない必要な専門職につなぐ

先に結論:RED-Sは「食べていない人」だけの問題ではありません

REDsは、運動後に健康・成長・日常生活へ使えるエネルギーが不足する「低エネルギー利用可能性(LEA)」のうち、健康やパフォーマンスへ悪影響を及ぼす「問題となるLEA(problematic LEA)」への曝露によって生じる、身体・心理の機能低下を含む症候群です。

食事制限や摂食障害が背景にある場合だけでなく、レッスンや自主練習が増えた、学校が忙しく食事を抜いた、移動が多く補食を取れなかったなど、本人に減量の意図がないまま起こることもあります。

RED-Sは、指導者が診断するものではありません:IOCのREDs臨床評価ツール(CAT2)も、単独のアンケートや体重による診断を認めるものではなく、医師を中心とする専門家チームによる臨床評価を前提としています。2026年の研究も、スクリーニング手段ごとに妥当性・対象集団の違いがあると指摘しています。

最初に確認:コーチが気づきたい12のサイン

一つのサインだけでRED-Sと診断することはできません。変化が重なる・続くときに、保護者と専門家へつなぎます。

RED-Sは、痩せて見える人だけに起こるものではありません。成長の停滞、月経の変化、繰り返す怪我や体調不良、回復の遅れ、気分や食行動の変化など、複数の領域にサインが現れる可能性があります。

コーチの役割は、生徒の体型を評価したり診断したりすることではありません。「以前と違う」「同じ不調が続く」と気づき、本人を責めず、保護者や医療・栄養の専門家へつなぐことです。

成長・発達身長・体重の
成長が停滞
怪我・体調疲労骨折・感染症・
回復の遅れ
月経・ホルモン初経の遅れ・
周期の変化
心・行動疲労・気分・
食事への不安
サインがあっても、原因は一つとは限りません:貧血、感染症、睡眠不足、内分泌疾患、心理的な悩み、過密な生活など、別の原因も考えられます。コーチだけでRED-Sと決めず、医師を中心とする評価へつなぎます。

1. 慢性的な疲れ

以前より疲れやすい、休んでも回復しない、練習後に日常生活へ支障が出る。

2. パフォーマンス低下

練習しているのに力が出ない、集中が続かない、筋力や持久力が落ちる。

3. 怪我を繰り返す

同じ部位の痛み、疲労骨折・骨ストレス障害が疑われる痛み、治りにくい怪我が続く。

4. 体調不良が増える

風邪や感染症を繰り返す、傷や怪我の回復が遅い、胃腸の不調が続く。

5. 成長が進みにくい

身長・体重・二次性徴など、成長の経過が以前より停滞しているように見える。

6. 月経の変化

初経がなかなか来ない、周期が大きく乱れる、月経が止まるなどの変化がある。

7. 冷え・めまい・ふらつき

寒がる、立ちくらみ、失神、顔色不良など、日常やレッスン中の変化が見られる。

8. 気分・行動の変化

いら立ち、落ち込み、不安、孤立、完璧さへのこだわりが強くなる。

9. 食事への強い不安

食べ物を極端に避ける、食事の場を嫌がる、カロリーや体重の話へ強く反応する。

10. 追加運動が増える

レッスン外でも休まず運動する、休養日に不安を示す、食べた分を動こうとする。

11. 体型・体重の急な変化

急な減少だけでなく、変化がなくても他のサインが重なる場合があります。

12. 学校生活への影響

眠気、集中低下、欠席、成績の変化、友人関係から離れるなどが見られる。

RED-Sと低エネルギー利用可能性

「食べた量」だけでなく、成長と運動を含めた身体全体のエネルギー収支を考えます。

低エネルギー利用可能性

食事から得たエネルギーのうち、運動で使った分を差し引いたあとに、成長、体温、骨、免疫、ホルモン、脳などへ使えるエネルギーが少ない状態です。

  • 食事量を意図的に減らしている
  • 練習量の増加へ食事が追いつかない
  • 学校・移動で食事や補食を逃す
  • 食物アレルギー等で選択肢が少ない
  • 体型への不安や摂食障害がある

相対的エネルギー不足

問題となる低エネルギー利用可能性が続き、身体や心理の機能、健康、怪我のリスク、パフォーマンスへ悪影響が蓄積した状態を指します。

  • 女性・男性の両方に起こり得る
  • 摂食障害がなくても起こり得る
  • 体重減少が目立たない場合もある
  • 健康とパフォーマンスの両方へ影響する
  • 専門家による総合的な評価が必要
名称について:IOCは2023年の合意声明で、読みやすさ等を考慮して表記を「REDs」としました。本記事では、日本で広く知られる「RED-S」をタイトルに使用し、同じ概念として説明しています。
大切な区別:IOCは、低エネルギー利用可能性(LEA)を一律に病的とみなしていません。一時的で適応可能なLEAと、量・期間・原因・個人差などによって健康やパフォーマンスへ悪影響を生じる「問題となるLEA」を区別しています。したがって、食事が少なかった日が一度あった、あるいは一つの症状がある、というだけでREDsとは判断しません。

2026年の合意声明から、新体操の指導現場に何が言えるか

新体操に関連する研究と、成長期アスリート全体の医学的知見を区別して読み解きます。

低エネルギー利用可能性を調べた研究

2026年刊行の女性アスリート三主徴の改訂合意声明では、新体操選手を扱った既存研究も取り上げています。ある研究では、測定したエネルギー利用可能性が一定の値を下回った参加者の割合として約45%が報告されています。ただし、これは特定研究の測定結果であり、REDsの診断率でも、日本の新体操選手全体の割合でもありません。

思春期の成長曲線・月経・骨の健康

2025年12月31日オンライン公表・2026年刊行の改訂合意声明は、思春期の女子アスリートに特化した評価モデルを提示しました。成長の経過、月経機能、骨ストレス障害を含め、専門家が複数の情報からリスクを評価する考え方を重視しています。

体型や質問票だけでREDsと診断しない

IOCのREDs CAT2は、医師を中心とする専門家チームによる臨床的評価を前提とします。新体操のコーチが体重・BMI、月経の有無、単独の質問票の結果だけから病名や運動参加可否を決めるものではありません。

数値を誤読しないために:「45%」は、引用された個別研究で用いた低エネルギー利用可能性の指標の割合です。REDsの有病率ではなく、国内の民間新体操教室にそのまま当てはめることはできません。測定法や対象選手の条件で結果も異なります。
コーチに必要な判断:統計から目の前の子どもの健康状態を決めつけず、練習負荷、学校生活、回復、痛み、気分や食事の変化を見て、必要なときに医療へつなぎます。

原著:女性アスリート三主徴改訂合意声明 Part 1(2026年刊行)/同 Part 2(復帰・治療)/IOC REDs合意声明(2023年)

新体操に特有の練習環境を、一週間全体で考える

新体操では、身体難度、手具操作、柔軟、ジャンプ、ピボット、バランス、演技の反復を同じ週に重ねることがあります。さらに団体演技、外部講習、自主練習、大会、遠征、学校行事が続けば、クラブの通常練習だけでは実際の負荷を把握しきれません。

新体操教室で起こり得る条件

  • 個人・団体の練習、手具練習、自主練習の重複
  • ジャンプ・着地や大きな可動域の反復
  • 大会・選抜、衣装、体型への心理的負担
  • 長時間の練習や移動で食事・補食の機会が減る

クラブ側が整えられること

  • 練習予定に休憩・水分・食事の時間を組み込む
  • 遠征中の補食・睡眠・移動を保護者と確認する
  • 痛みや疲労が続けば負荷を上げず、受診につなぐ
  • 復帰・参加範囲は医療者の助言に沿って調整する
大切な区別:ダンス領域の競技別評価枠組みなどを、新体操の診断方法としてそのまま転用してはいけません。このページでは、競技を問わないREDsの国際的な医学知見と、新体操の指導現場で実行できる予防・相談を区別して紹介します。

医学的根拠:IOC REDsコンセンサス/2026年刊行・女性アスリート三主徴合意声明

成長期は、月経・骨・成長の経過を別々にも確認する

成長期に必要なエネルギーは、演技するためだけのものではありません。

月経の相談を先送りにしない

15歳になっても初経がない、月経が約3か月以上ないなどの場合は、産婦人科や小児科等の医師に相談する目安になります。初経直後の周期には個人差がある一方、無月経を「選手だから普通」と扱わないことが重要です。

骨の一点の痛みは練習を止める

ジャンプ・着地・歩行で増す局所的な痛みが続くときは、骨ストレス障害等の医学的評価が必要です。コーチの判断で痛む部位に負荷をかけず、ジャンプや着地反復などを中断して医療機関へつなぎます。

復帰は出場・選抜ではなく健康を優先

改訂合意声明では思春期の発育段階に応じたリスク評価と復帰支援が示されています。出場日や団体の予定より、休養、食事支援、医療的評価と将来の骨の健康を優先します。

目安は「診断」ではありません:月経異常・めまい・骨の痛みは、REDs以外にも原因があります。年齢や症状の条件を満たすかどうかだけで待たず、不安があれば早めに受診してください。失神、胸痛、意識の異常、呼吸困難、自傷・自殺の危険などは速やかな救急対応を優先します。

出典:2026年版・女性アスリートの三主徴合意声明 Part 2/国立スポーツ科学センター・女性アスリート支援資料/HPSC Female Sportナビ

成長期の新体操選手が特に大切にしたいこと

成長のためのエネルギーと、新体操の練習・学校生活を支えるエネルギーを同時に必要とします。

骨量を育てる時期

成長期は将来の骨の土台をつくる重要な時期です。日本産科婦人科学会も、思春期は最大骨量を獲得する時期で、長期の無月経は低骨密度の原因になり得るとしています。エネルギー不足、月経異常、骨ストレス障害を軽く扱いません。

身体が急速に変化する

身長、体重、重心、筋力、柔軟性が変わり、以前できた動きが一時的に難しくなることがあります。

学校生活も負荷になる

レッスンだけでなく、通学、勉強、睡眠不足、人間関係も回復へ影響します。

食事の自己管理が途中

補食の準備、遠征時の食事、忙しい日の選び方を、本人だけの責任にしないようにします。

体型への影響を受けやすい

周囲の選手、コーチ、SNS、演技衣装、審査への思い込みから、細さを求める圧力を感じる場合があります。

不調を隠しやすい

大会への出場や選抜、団体での役割を失う不安から、痛み、月経、疲労、食事の悩みを言い出せないことがあります。

成長を「太った」と評価しない:身長や身体の幅、筋肉、脂肪の変化は、成長の一部です。成長期の自然な身体変化を否定すると、食事制限や自己否定を強める可能性があります。

健康とパフォーマンスに現れ得る影響

一人の生徒にすべてが現れるわけではなく、現れ方や程度には個人差があります。

問題となる低エネルギー利用可能性で影響を受け得る領域
領域現れ得る変化指導者が気づく場面
成長・代謝成長の停滞、体温調節や代謝の変化以前より寒がる、疲れが抜けない、成長経過への懸念
骨・筋肉骨ストレス障害、骨の健康低下、回復の遅れ一点に続く痛み、着地痛、繰り返す怪我
月経・生殖機能初経の遅れ、周期の乱れ、無月経等本人や保護者から周期変化の相談がある
免疫感染症や体調不良の増加風邪、欠席、喉や胃腸の不調を繰り返す
血液・循環貧血等を含む体調・持久力への影響顔色不良、息切れ、めまい、持久力低下
心理不安、抑うつ、いら立ち、食行動の問題孤立、涙、完璧さ、食事や体型への強いこだわり
パフォーマンストレーニング反応低下、集中・判断の低下練習量は多いのに上達しない、ミスが増える
怪我のリスク怪我の増加、復帰の遅れ同じ部位を繰り返す、治療後も戻りにくい
体重を最初の判断材料にしない:RED-Sのサインは多様で、体重だけでは見逃します。IOCの合意声明も、単一の指標による診断ではなく、複数の健康・パフォーマンス指標を総合的に評価する考え方を示しています。
エネルギー利用可能性を教室で計算して診断しない:摂取エネルギー量と運動消費量を現場で正確に測ることは難しく、LEAの数値だけでREDsを診断することはできません。IOC REDs CAT2も、医療者が病歴、身体所見、検査、鑑別診断、複数の指標を組み合わせて評価するための臨床ツールです。

気になる変化があるときの声のかけ方

体型や食事量を問い詰めず、観察した変化と心配している理由を伝えます。

伝え方の例

  • 「最近、疲れが続いているように見えて心配しています」
  • 「足の痛みが何度か続いているので、一度専門家に相談しよう」
  • 「話してくれてありがとう。あなたを責める話ではないよ」
  • 「保護者の方と、身体を診られるコーチにつなげたいです」
  • 「新体操を続けるためにも、今の健康を一緒に確認しよう」

避けたい言葉

  • 「もっと食べればいいだけ」
  • 「細いからきれい」「太ったから動けない」
  • 「月経が止まるのは選手なら普通」
  • 「本人の自己管理が足りない」
  • 「誰にも言わないから全部話して」
公開の場で聞かない:月経、体重、食事、摂食障害の可能性などは、クラス全員の前で質問しません。本人が安心できる場所と同席者を確認し、未成年者では保護者や教室の安全担当へ適切につなぎます。

サインに気づいた後の5ステップ

コーチが治療計画を作るのではなく、観察・共有・専門家への連携を行います。

1

事実を記録

疲労、欠席、痛み、パフォーマンス、本人の言葉など、推測と分けて記録します。

2

本人へ声をかける

体型ではなく、観察した変化と健康への心配を伝え、話を急がせません。

3

保護者・責任者へ共有

未成年者では教室内の手順に沿い、本人の尊厳とプライバシーを守りながら共有します。

4

専門家へつなぐ

スポーツ医・小児科・産婦人科等の医師、管理栄養士、心理職などへ相談します。

5

指示に沿って調整

専門家の評価に基づき、練習量、休養、参加範囲、復帰を教室で共有します。

!

急な症状は救急へ

失神、意識の異常、胸痛、呼吸困難、自傷・自殺の危険、強い骨痛等は緊急対応を優先します。

連携チームの例:医師を中心に、スポーツ栄養を理解する管理栄養士、心理職、理学療法士・トレーナー、保護者、本人、必要に応じて指導者が情報を共有します。参加範囲の判断は、利益相反や大会日程より健康を優先します。

RED-Sを見逃しやすくする新体操指導

上達を願う言葉でも、食べることや不調を隠す方向へ働く場合があります。

体型を成果として評価する

  • 痩せたことだけを褒める
  • 体重や見た目を公開比較する
  • 衣装が入ることを健康より優先する
  • 体重を一律に下げれば演技の質が上がると伝える
  • 成長による変化を自己管理不足とする

不調を努力で押し切る

  • 月経が止まるのは練習の証とする
  • 痛みや疲労を根性不足とする
  • 休むと選抜から外すと脅す
  • 食事の治療的指示をコーチだけで行う
  • 専門家への相談を大げさと扱う
測定も安全に:IOCの2023年合意声明は、身体組成評価を行う場合の安全で効果的な実施方法にも言及しています。目的のない測定、頻繁な測定、結果の公開、罰としての測定を避け、必要時は専門家の管理下で行います。
2026年10月時点の科学的な位置づけ:2023年IOCコンセンサスと2026年刊行の女性アスリート三主徴の改訂合意声明は、重要な臨床的枠組みです。一方、指標によって研究の質や診断精度に限界があり、2026年にはスクリーニング質問票の妥当性を比較したレビューも公表されています。だからこそ本記事の12のサインは「診断基準」ではなく、医療評価へつなぐための変化として扱います。

新体操教室ができるRED-S予防

生徒個人の食事管理だけへ責任を置かず、指導・スケジュール・言葉・相談体制を見直します。

体型を評価しない

細さではなく、回復、安定、力、音楽性、技術の過程をフィードバックします。

練習量を見える化

教室、自主練習、学校部活、コンクール、外部講習を含む総負荷を確認します。

休養日を守る

成長期に必要な睡眠、食事、学校生活を含め、休むことを指導の一部にします。

補食できる環境

長時間練習や大会で、休憩・水分・補食の時間と場所を確保します。昼食を取れない練習日程や、食事を我慢することが当たり前の空気も見直します。

健康教育を行う

月経、骨、栄養、エネルギー、摂食障害を、恥や性別の問題だけにせず学びます。

相談先を用意する

医師、管理栄養士、心理職など、スポーツを理解する専門家との連携先を確認します。

保護者と共有する

怪我、疲労、月経、食事の相談を、進路や出場・選抜を失う話ではなく健康支援として伝えます。

コーチも学び続ける

RED-S、摂食障害、成長、救急対応、言葉がけについて定期的に更新します。

教室で安全方針を確認:選手の成長、睡眠、食事、月経、疲労、痛みを相談できる仕組みを整えましょう。練習の負荷や休養日、体型に関する指導、保護者への連絡手順をクラブで共有し、必要に応じて改善することが重要です。

成長期の選手とRED-Sについてよくある質問

体重、月経、男子、食事、練習参加、専門家との連携について回答します。

Q1. RED-Sとは何ですか?

現在のIOCの表記では「REDs」です。低エネルギー利用可能性(LEA)のうち、量・期間・原因・個人差などによって健康やパフォーマンスへ悪影響を及ぼす「問題となるLEA」への曝露から生じる症候群を指します。すべての一時的なLEAがREDsというわけではありません。日本では「RED-S」の表記も広く使われています。

Q2. 痩せていなければ、RED-Sの心配はありませんか?

体型や体重だけでは判断できません。体重が大きく変わらなくても、成長、月経、骨、免疫、気分、回復、パフォーマンスなどへ影響が現れる場合があります。コーチが体型を見て診断することはできません。

Q3. 月経があれば、RED-Sではありませんか?

月経は重要な健康指標の一つですが、月経があることだけで問題がないとは言い切れません。また、月経の遅れや無月経にもさまざまな原因があります。変化が続く場合は、保護者と共有し、医療機関へ相談します。

Q4. 男子選手や男性にもRED-Sは起こりますか?

はい。REDsは女性だけの問題ではなく、男性にも起こり得ます。男子選手では月経という手がかりがないため、疲労、成長の停滞、繰り返す怪我や感染症、気分の変化、ホルモンに関する症状等にも気を配ります。新体操における男子の参加状況にかかわらず、競技者の健康全般に関わる医学的概念です。

Q5. 指導者が生徒の体重を測ったほうが早く気づけますか?

体重だけでは診断できず、頻繁な測定や公開比較は、体型への不安や食行動の悪化につながる可能性があります。体組成の評価が必要な場合は、目的、方法、同意、プライバシーを整え、医療・スポーツ栄養等の専門家が関わる環境で行います。

Q6. 生徒が食事制限をしていると話したら、何と声をかければよいですか?

叱ったり、食べる量をその場で指示したりせず、「話してくれてありがとう。身体と踊りを守るために、保護者や専門家と一緒に確認しよう」と伝えます。食事内容の細かな治療的指導は、医師や管理栄養士等へつなぎます。

Q7. 月経や食事について、コーチから質問してもよいですか?

健康確認として必要な場合もありますが、公開の場や異性のコーチと二人きりの場で詳しく聞かないようにします。目的を説明し、答えたくない選択肢を残し、保護者や女性スタッフ、医療職へつなげる仕組みを整えます。

Q8. RED-Sが疑われる場合、レッスンを休ませるべきですか?

コーチだけで診断や復帰判断をしません。ただし、骨ストレス障害が疑われる痛み、失神、胸痛、呼吸困難、強い体調不良などがあれば、その日の運動を中止して医療へつなぎます。継続的な練習量や参加可否は、医師を中心とする専門チームが、病歴・診察・必要な検査・競技リスクを総合して判断します。

Q9. サプリメントや鉄剤を勧めれば改善しますか?

原因を確認せずにサプリメントや鉄剤を勧めることは避けます。栄養不足、貧血、食行動、吸収、疾患など背景はさまざまです。医師や管理栄養士による評価を受け、必要性と安全性を確認します。

Q10. 教室ではRED-S予防のために何ができますか?

体型を評価しない、食事や月経を恥にしない、休養日を設ける、成長と学校生活を含めて練習量を考える、痛みや疲労を伝えられる環境を作る、保護者・医師・管理栄養士・心理職等の相談先を整えることが役立ちます。

Q11. 新体操では、なぜ食事と練習量のバランスが大切なのですか?

成長期には競技で消費するエネルギーに加えて、骨・筋肉・ホルモン・免疫・日常生活のためのエネルギーが必要です。新体操では個人・団体・手具・身体難度の練習や大会、移動などが重なりやすいため、休息と食事の機会を含めて計画します。具体的な栄養処方は医療・栄養の専門家が担います。

Q12. 2026年の資料にある「45%」は、新体操選手のRED-S有病率ですか?

いいえ。改訂合意声明が引用した新体操の個別研究における低エネルギー利用可能性の測定指標に関する割合であり、REDsの診断率ではありません。対象・方法が限られ、日本の民間新体操教室全体に当てはめることはできません。

Q13. 15歳になっても初経がない、または3か月月経がない場合は?

産婦人科や小児科等へ相談する重要な目安です。初経後の周期が安定するまでには個人差があり、月経異常にはREDs以外の原因もあります。本人を責めず、保護者と必要な医療につなぎます。数値だけで受診を先送りする必要はありません。

Q14. 骨の一点の痛みがあるとき、大会に向けて練習を続けてもよいですか?

着地時や歩行時の局所的な痛みが続く場合は、骨ストレス障害等の可能性もあるため、ジャンプや着地など痛みを増す運動を止め、医療機関の評価を受けます。大会日程を理由に無理な練習を続けず、参加・復帰は医師の助言を優先してください。

公式資料・参考文献

記事中の医学的説明は、各競技に共通する国際合意文書と専門資料に基づきます。新体操の具体例は教育上の応用であり、個々の研究結果を日本の地域教室全体に一般化するものではありません。

医学的な注意:本記事は新体操指導者向けの一般的な教育情報であり、REDs、摂食障害、月経異常、骨ストレス障害等を診断・治療するものではありません。失神、胸痛、呼吸困難、意識障害、自傷・自殺の危険などがある場合は緊急対応を優先します。健康上の懸念がある場合は、保護者と適切な医療・心理・栄養の専門職へ相談してください。

執筆:新体操安全コーチ資格事務局

新体操指導における安全、教育、心身への配慮を分かりやすく届けるため、公式・専門情報をもとに記事を制作しています。

細さを求めるのではなく、成長しながら新体操を続けられる環境へ。

必要なのは、体型の見た目から健康を推測することではありません。成長期の身体、栄養、心理、練習負荷を学び、不調に気づいて適切な専門家へつなぐ力です。新体操安全コーチ資格では、栄養学・摂食障害への理解・トレーニング理論・心理学などを含む、全12講義のベーシックプログラムをオンラインで提供しています。

本プログラムは民間の指導者向け教育・修了認定です。診療や栄養指導を行う医療資格、JGA・JSPOの公認指導者資格を付与するものではありません。

新体操安全指導者資格
運営:Safe Dance Association(セーフダンスアソシエーション)
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!