レッスンの前後までが指導になる安藤 紗由莉先生|SEED新体操教室
ただ身体を動かす、ただ長く伸ばすのではなく、その日のレッスンで何を引き出したいのかを考え、ウォームアップからストレッチ、終了後のケアまでを組み立てる。「ウォームアップとストレッチ」を学んだ安藤先生の気づきをご紹介します。
みなさま、こんにちは! 新体操安全コーチ資格事務局です。
このコラムでは、今年からスタートした「新体操安全コーチ資格」を受講してくださった先生方からの、各講義のご感想や現場での気づきをシリーズでお届けしてまいります。
今回も、SEED新体操教室にて子どもたちの指導にあたられている安藤紗由莉先生のご感想をご紹介いたします。
本資格でどのような実践的な知識を学ぶことができるのか。現在受講を迷われている方も、ぜひ安藤先生のリアルな声をご参考になさってみてください。
レッスン前後の身体の整え方、ストレッチの種類と目的、テーパリングやピーキング、柔軟性向上の考え方などを学び、安全性とパフォーマンスを両立するための実践へつなげる講義です。
安藤紗由莉先生が学んだ「ウォームアップとストレッチ」
新体操では、柔軟性の高さが重要視される一方で、「とにかく長く伸ばす」「レッスン前に念入りに静的ストレッチをする」といった経験則だけで身体を整えてしまうこともあります。
今回、安藤先生が学び直したのは、ウォームアップもストレッチも、それ自体が目的ではなく、その後の動きや身体の状態に合わせて選ぶものだということでした。
目的に沿って身体を整える。安藤紗由莉先生|受講後のご感想より
- お名前
- 安藤 紗由莉
- 所属
- SEED新体操教室
- 活動
- 子どもたちへの新体操指導
- 今回の講義
- ウォームアップとストレッチ
講義を受けて見えてきた、5つの視点
講義を受けて感じたこと
ただがむしゃらに新体操を練習し、何の理論もなく技の反復や長時間のストレッチをしてきたために、肉体的にも精神的にも頑丈な自分を形成することはできたかもしれませんが、科学的な理論に基づき効率良くトレーニングしていたら、どのような現役時代を送れたのだろうかと想像が膨らみました。
どのスポーツをするにしても、プロ・アマ問わずウォームアップとストレッチ、その後のケアは大切です。一方で、実際に何が正しくて、何をすべきかをきちんと把握できている人は少ないと思われます。
安全で怪我をさせないことを第一に、指導者である以上、レッスンの初めから終わりまで目的に沿って内容を組み立て、その中で生徒の体調を管理することも役目であるため、ベストコンディションを引き出す術を身につけて、コーチングのレベルを上げていきたいです。
自分のこれまでを振り返って気がついたこと
テーパリングとピーキングという考え方を初めて知り、これができていなかったから本番をベストで臨むということができなかったのかもしれないと、過去に思い当たることが私自身にも周りにもありました。
特に合点がいったのがミュージカルの現場です。1か月間ほぼ毎日稽古があり、朝から晩まで急に出番がきては踊り、長時間待機するという日々を送った結果、本番当日は体調不良が続出し、私は腸腰筋を痛めて電気治療を受けつつ誤魔化しながら舞台に立ちました。あの時は、ピーキングができる土台が何もなかったように思います。
年間を通して本番に向けてトレーニングができ、前々から計画を立てられる場合であれば、取り入れるかどうかでパフォーマンスに差が表れそうなため、新体操の現役時代にぜひ試してみたかった理論でした。
今の環境で実践することは難しい面もありますが、これを意識しつつ自分の体力と疲労のバランスを感じ、どうすればベストコンディションを本番の日に持っていけるのかを実験的に探りたいです。
「頑張る量」を増やすだけでは、必ずしも本番で良い状態につながるとは限りません。負荷をかける時期、疲労を抜く時期、本番へ状態を合わせる考え方まで含めてトレーニングを設計することが、安全性とパフォーマンスの両面で重要になります。
現場でどのように活かせそうか
今までレッスンの最初に準備体操として、体の各部位を動かして伸ばす時間を取っていましたが、あまり効果や意図をそこに求められておらず、毎回淡々とこなしてしまっていました。
ウォームアップとして意義があり、その先の新体操のパフォーマンスが向上するようなものになるように、ご教授いただいた動きを参考に取り入れて、生徒と共に私も実践してみたいです。子ども達も、このくらい短時間で沢山の要素がある導入の方が、飽きずにレッスンを楽しんでくれそうだと期待しています。
また、ストレッチにはいくつかの種類があり、それぞれ何を目的としているかを明示できるようにして、様々な角度から柔軟性にアプローチしていきたいです。PNFストレッチは初耳だったので、加減が分かる高学年に新たな試みとしてやってもらいたいと思います。
受講前と受講後で変わったこと
私は全くと言って良いほど、今回の講義の理論に当てはまらない時間の使い方をして、自己流のウォームアップとストレッチをしてきました。
基本的に静的ストレッチから動き始め、活動量が最大になったところで新体操やダンスを終了し、痛みがある時以外ほぼケアをしたことがありませんでした。今日までの浅い知識で正しくないことは認知していましたが、レッスンの前後に時間がなかったり、静的ストレッチで可動域を広げ切っていないと股関節周りから怪我をしてしまいそうな感覚があり、ストレッチを念入りに先にやることで順番が逆になったりと、正しく実施できていませんでした。
しかし、運動前後にやるべきことを実際のやり方を含めて知ることができ、どのような状態でレッスンを中心にウォーミングアップとストレッチを組み込めば良いかを具体的にイメージできたので、これからは実践して体の変化を感じたいと思います。
その日の動きにつながるウォームアップへ。安藤紗由莉先生|受講後のご感想より
生徒に伝えたいと思ったこと
新体操を教える上で、どうしたら体が柔らかくなるのかということが大きなテーマであり、経験として感覚では分かるものの、明確にやることを言語化して提示できていなかったため、柔軟性が上がる静的ストレッチのやり方を生徒に正しく伝えたいです。
いつも週1回のレッスンで生徒が柔らかくなったと感じることがほぼなく、何をすべきか頭を悩ませていましたが、頻度、継続時間、強度のどれを取っても足りておらず、レッスンの中だけで柔らかくすることがデータとしても厳しいことが明白になりました。
その上で、いかに自宅でストレッチの時間を作るかが重要であるので、生徒にも家でやってほしいことをレッスンで声をかけながら、自主的にやってもらう流れを作りたいと思います。
また、新体操に積極的になってもらうには、大きな目標とそれまでの小さなステップが本人に見えていることが鍵になると思われますので、コーチングの講義に立ち返って生徒のモチベーションを上げていきたいです。
「何となくやる準備運動」から、目的のある身体づくりへ
安藤先生、今回も実践的で気付きに満ちたご感想をありがとうございます。
現役時代やミュージカルの現場での経験から、「テーパリング」や「ピーキング」という考え方の重要性を実感されたお話は、練習量を増やすことだけが良い準備ではないことを考えさせられます。
ウォームアップもストレッチも、長く行えば良いわけではありません。何のために行うのか、その後どのような動きをするのか、今の身体がどのような状態なのかによって、内容や順序を考える必要があります。
レッスンの導入を目的のあるウォームアップへ変え、ストレッチの種類と目的を整理し、自宅での取り組みまで生徒自身が理解できるようにしていく。そこには、身体科学とコーチングの両方がつながっています。
また、柔軟性を高めることは、新体操にとって大切な要素の一つです。しかし、柔らかさだけを急いで求めるのではなく、頻度や強度、継続性を考えながら、安全に身体を育てていく視点が欠かせません。
レッスンは、メインの技術練習だけでできているわけではない。始める前の身体の準備から、終わった後のケア、その先の自主練習までを含めて指導を考えることが、子どもたちの身体と未来を守ることにつながります。
次回のコラムでも、受講生の皆様のリアルな声と、学びを通じた指導現場のアップデートをお届けしてまいります。「新体操安全コーチ資格」に興味をお持ちの先生方、今後のコラムもぜひご期待ください。
レッスン前後まで含めて、安全な指導を学ぶ
新体操安全コーチ資格では、解剖・トレーニング・ウォームアップとストレッチ・栄養・心理・ハラスメント・コーチングなど、子どもたちを安全に支えるために必要な視点を専門家から体系的に学びます。今の指導を見直したい方、これから指導者を目指す方もオンラインで受講できます。